空き家から始まる商店街の賑わい創出プロジェクト nanoda

空き店舗を借り、イベントを通してコミュニティの場を

塩尻市の市役所職員が対話から行動を促すための意見交換会「しおラボ」の開催により、「実際に空き店舗を借りてみなきゃわからない!」という意見から、若手市職員を中心にメンバーを集め、毎月1,000円を原資に空き店舗を借りて、さまざまなイベントを開催しています。

借りた空き家を「nanoda」と名付け、2012年4月から活動がスタートし、商売の経験がほとんどない市の職員が実際に現場に触れてみて感じ、「朝食なのだ」や「ワインなのだ」を月1回のペースで開催しています。

一番力を入れている「掃除なのだ」は、大門商店街のシャッターが閉まっている店舗を訪問し、お話を聞き、どんなことに困っているのかを考え、メンバーが自主的に清掃活動をしています。

4月からスタートして、大門商店街の現状課題を知るために自分たちで借り、実際に住んでみることで、商店街の現状を把握できるのではないかと実施したところ、市民の方々が意外に困っていないことがわかったそうです。商売としての店舗をしていた方々も、経済的に不便を感じておらず、商店街のにぎわいを求めるよりも店舗が住宅化しているのが現状のようです。

nanoda代表の山田崇様は、この事業を10年は続けていきたいと考え、「商店街振興空き店舗対策として時間外に企画を開催し、関わっていきたい。」と考えておられます。

現在nanodaでは、さまざまなイベントが開催されている傍ら、地域の方々が利用できるようなコミュニティの場所として空き家を提供し、人と人、人と地域がつながる場所として活動されています。また、塩尻だけが良くなればいいとは考えておらず、他地域の方にnanodaを訪問ししていただき、各地域で企画運営されています。岡谷の「だもんで」や信州大学の学生による「となりの、」など、nanodaが情報発信することで地域全体が活性化していくことがnanodaという事業の本質でもあるようです。

nanodaの活動

・空き店舗であった場所を掃除し、拠点として整備。

①週末の朝、みんなで朝食を食べる「朝食なのだ」

②毎月20日(ワインの日)に、塩尻産ワインを楽しむ「ワインなのだ」を実施。

若手職員が地域との交流をすることで、商店街の現状や課題を身近に感じる機会につながっています。

・市職員や商店街の店主も加わり、50人ほどのメンバーで運営。会費は建物の維持管理費のほか、建物回収のために積み立て、空き店舗の改修を行っています。

・「空き家を御掃除なのだ」を開催し、商店街に約30ある空き店舗の大家にお願いし、普段掃除が困難な空き店舗を定期的に掃除。現在、拠点となっているnanodaのほか、2件目の空き店舗アトリエなのだを運営。

・nanodaの活動が全国紙「TURNS」2013年夏号の表紙を飾り6ページ特集されるなど、市外への情報発信につながり、他地域の方々が同様の仕組みで空き店舗を借りてオープンするなど、塩尻市近隣で3件の空き店舗活用につながる。

・商店街の若手後継者も加わり、商店街の既存店とのコラボレーション企画を実施。和洋菓子店とパン店が新商品開発など、事業所間連携も行われている。

国際交流なのだ!

11月17日(日)、12時から初企画「国際交流なのだ!」が開催されました。インドから塩尻市に在住のアシシュさんがカレーの調理を担当し、本場インドのカレーをふるまいました。

アシシュさんは、現在精密関係のお仕事をされており、いつかは自分でインド家庭料理専門店を開きたいと、日々料理の腕を磨かれています。料理教室もされており、インドの家庭料理をたくさんの人に知っていただくため活動されています。

当日提供されたカレーは、ひよこ豆のカレーと3種類の豆のカレー。あめ色になるまで炒めた玉ねぎと、トマトを煮込み、独自に調合されたスパイスを利かせたカレーは、風味豊かで日本のレストランでは味わえない料理でした。また、チャパティ(小麦を主要穀物とする北部インドを中心に、広範囲な地域で主食とされるパンの一種。)も提供していただきました。小麦粉と水だけで練り上げ、焼くだけの一見簡単な調理に見えますが、インドでは女性がチャパティを上手に焼けないとお嫁にいけないといわれるほど、奥の深い料理のようです。とても素朴でありながら小麦粉の香りとほんのりとした甘味に加え、焼いた香ばしさがたまらない味でした。今回は日本の小麦粉を使用しましたが、本来はインドの全粒粉を使用することで、よりしっとりとした生地に仕上がるそうです。

カレーと一緒に食べるご飯にもこだわり、インディカ米(インド・東南アジア・中国南部などで主に栽培され、世界の米生産量の約8割を占める米。長粒で、炊いても粘り気がない。)を使用していました。日本でも見かけるタイ米よりも、もっと細長く、粘り気はありませんが、歯ごたえのあるカレーに良く合う味でした。インドでは圧力鍋やアルミ鍋を使用し、茹でるようにしてご飯を作るそうです。

インドの食文化だけでなく、調理道具や食器も独特なものがあり、日本との文化の違いも感じられました。今回調理に使われた器具も、インドから持ち寄られたそうです。

インドのスナック菓子もいただきましたが、さっぱりとした口当たりの良さと、ピリッとくるスパイシーな味は癖になる美味しさです。

塩尻でくらやみごはんなのだ

12月に開催されたnanoda主催のイベントの企画会議にお邪魔し、取材させていただきました。

山田さんをはじめ、トムズレストランの友森 隆司さんと、東京から来られた企画担当の戸田 そのこさんの3名。内容は、ブラインドレストランという目隠しをした状態で食事をするヨーロッパ発祥の新しいコンセプトの食事会です。アイマスクを付けて、隣に誰が居るのか分からない、何を食べているのか分からないという状態で食事をします。人間は視覚的情報により多くの情報を知り判断することで安心します。その視覚的情報を遮断し、残された感覚で食事をすることで、会話・言葉などの難しさや大切さを知り、素材をゆっくりと味わい、味覚を研ぎ澄ますことで食への関心を高める効果もあります。

今回の会議では、友森さんと山田さんが目隠しをし、実際のシミュレーションをします。実際の体験をすることで、新たな発見や、考えられる課題をみんなで相談し、問題点など意見を出すことで企画の考案を練ります。料理人としての意見、また企画をする側の意見が飛び交う中、企画の主旨を的確にまとめあげ、お客様に何を楽しんでいただくか、何のためにやるのか、そのために必要なものは何かをシミュレーションによって解決していきます。

実際に入口から目隠しをし、エスコートされながらテーブル席に案内され、グラスや皿の位置を手探りで確認しながら食事をします。視覚を奪われることで嗅覚や肌に触れる感覚を研ぎ澄まし、どんな料理を食べているのかを想像しながら食べます。普段使いなれている箸やフォークでも、見えないことで使いにくく、皿の形状や提供された料理の量もわからない状態に悪戦苦闘の様子。素材を吟味しながら、ゆっくりと味わうことで満腹感も違うようです。